• イベントレポート

全国から集まった「ここだけこうだったら」を可視化― 小さな違和感から始まる、新しい服の選び方の提案 ―

理想の服を妥協せずに手に入れられる社会を目指すプロジェクト「TailorYou」。理想の服のイメージがある人と作り手をつなぐマッチングプラットフォームの実現などに取り組んでいます。

そんなTailorYouは今回、全国から寄せられた「ここだけこうだったら」と思う服のリメイク案を展示するイベント「日本最大級!1000着の『ここだけこうだったら』展」を2026年2月7日に100BANCHにて開催しました。その当日の模様をTailorYouの黒川がレポートします。

全国から寄せられた「ここだけこうだったら」という声を、壁一面に展示する「1000着の『ここだけこうだったら』展」を開催しました。既製服に対する“少しの惜しさ”や理想を分類ごとに整理し、beforeと比較できる形で展示しました。さらに、来場者がその場で理想を書いて投稿できる参加型コーナーも設けました。

会場では、服にまつわる思い出のストーリー紹介や、実際の依頼によって制作されたリメイク作品の実物展示も行い、「半分つくる」という選択肢を体感できる構成としました。入場料ではなく“体験参加費”として700円を設定し、ドレスコード(水色)を設けることで、来場時点から参加者として関わる設計にしたことも特徴です。

既製服には多くの「惜しい」が積み重なっています。しかし、その声は十分に社会に可視化されていません。

実際にTailorYouを運営する中で、「素材は好きだけれど丈が少し長い」「あと2センチ首元が詰まっていたら買っていた」といった声を何度も耳にしてきました。試着室で悩みながら棚に戻される服や、「ほぼ理想だけど…」と諦められる瞬間を見てきたこともあります。それらは決して大きな不満ではありませんが、確実に存在する“微差”の違和感です。

にもかかわらず、そうした声は購入データや売上数字には現れません。既製服には「惜しい」が積み上がっているにも関わらず、その声は社会的には記録も共有もされていないのが現状です。

TailorYouは“半分つくる”という選択肢を提示してきましたが、その需要の広がりを社会的に検証する必要があると感じました。小さな違和感を集めれば、「探す」から「近づける」への価値転換が起こるのではないか。本企画は、そうした仮説のもと実施しました。

 

「理想が具体的になった」来場者の声

開催後、多くの来場者から「これ欲しいと思える服が見つかった」「理想が言語化できた」「リメイクが身近に感じられた」といった声が寄せられました。また、「自分の技術を活かせるかもしれない」と可能性を感じた方もおり、作り手側への広がりも見え始めています。

特に印象的だったのは、Instagramリールからの集客が想定以上に多かった点です。視覚的に理想を共有することが共感を生み、来場へとつながりました。一方で、理想を書いてくださる方は多かったものの、実際の投稿まで至らないケースもあり、今後は参加のハードルをどのように下げるかが課題です。

 

「選ぶ」から「近づける」へ。次の展開

今後は、集まった理想の服をアルバムや雑誌として編集し、消費者の声そのものを記録・発信していく予定です。また、廃棄服を素材として提供できる企業と連携し、リメイクを循環型の取り組みへと広げる可能性も探っていきます。

さらに、服飾学生やテイラーの皆さまには、技術を社会と接続する実践の場として参加していただきたいと考えています。加えて、消費者データをR&D視点で活用したい企業との協働も目指しています。

既製服をただ選ぶのではなく、自分の理想に近づけるという選択肢を広げていきたいと考えています。今回のプログラムは、その第一歩となる取り組みです。

たくさんのご来場、ご協力ありがとうございました! 

 

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