EVENT REPORT

2018.09.10 Mon

「誰もが活動する時代になれるか?」 ———「人間の条件 - Vita Activa - 」 / BUSHOUSE出発式

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100年先の未来をつくるプロジェクトリーダーによるクロストークイベント。「自分の実現したい未来をつくりながら生きる」という、シンプルでありながら最も難しいテーマについて、実践紹介をしながら議論する場となりました。

政治哲学者ハンナ・アーレントは、「人間がより人間らしくある」ための「人間の条件」を、労働・仕事・活動の3つから構成されると提言しています。出版から60年経った現代においてもなお、影響力のあるコンセプトです。

 

「100BANCH=活動する場所」と定義すると、現代版の「活動」とは何なのか。人工知能が発達する中、いかに活動の割合を増やすか。どうしたら「活動的生活-Vita Activa-」を送ることができるのか。
今回はその歴史的なコンセプトに沿って、100BANCHプロジェクトリーダーたちの思考と活動の実践(トライ&エラー)から、私たちが「活動的」であり続けられる術を議論します。

 

参加プロジェクトリーダー紹介

Fundoshibu,Ltd. 星野 雄三

東京大学大学院総合文化研究科卒業後、世界平和のために、株式会社ふんどし部(Fundoshibu Ltd)を設立。現在、ふんどしの製造・販売・コンサルティングを行い、日常のあらゆる問題をふんどしで解決することを理念とする。業界史上最速でふんどしマン業界のトップに座すことに成功し、業界でのふんどしマンの保有数No.1を誇る。

 

星野「ふんどしは着ている人間そのものを丸裸にしてしまいます。自分が何者であるかを瞬時に表現するのに最適なウェアなんです。
人々を合理的・物理的に健康にしたいという野望もあり、ジムも経営しています。
クレイジーさ(=ふんどし)と合理的要素(=身体を鍛える)をいかに組み合わせて表現するか、日々考えています。」

 

椎茸祭 竹村 賢人

1987年 自由が丘の和食料理屋の息子として生まれる。
2010年 大学卒業後、NTTコミュニケーションズ入社。
渡印し、エンジニアなどを経て
2013年 チームラボ入社。 デジタルアートや展示を担当。
2017年 5月 椎茸祭を設立。

 

竹村「インドで働いているとき、飲み屋での取っ組み合いによく遭遇したので、気の短い人間と長い人間の違いを考えていました。それで、旨いものを食べていればみんな穏やかになるのではないか、という仮説を立てたんですよね。
さらにうまみ成分が排他性を下げ、攻撃行動を大幅に減少させた研究も発表されており、うまみって人を理性的にさせるのでは?うまみ成分に平和の鍵があるのでは?と仮説を発展させていき、今に至ります。」

 

RGB_Light 河野 未彩

フリーランス/グラフィックデザイナー・アートディレクター。多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。 卒業後、グラフィックアーティストとして活動を開始。グラフィックデザイン、アートディレクション、MVディレクション、ライブ演出、などを幅広く手がけてきた。

 

河野「ダサい空やダサい葉脈って見たことないですよね。自然って偉大だな、と感じたことがきっかけで光を作りたいと思うようになりました。
光が生まれれば、影も生まれます。テクノロジーが進化する時代の中で、影=黒ではないことを体験してもらいたいですね。影も彩ることができるんです。」

 

BUSHOUSE 青木大和

1994年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科在学中。2012年に若者と政治を繋ぐ活動を開始。その後、法人化し、18歳選挙権実現の立役者となる。その後若い世代の夢を描き、誰しもが表現できる場を創るために 2016年にアオイエを立ち上げる。2017年に法人化し、代表に就任。コミュニティを再定義し、価値観を変え、思想を変え、生き方を変えることを目指す。

 

青木「人類が狩猟移動民族から農耕定住民族になり、流動的に移動できないことに問題意識を持っています。ライフステージ合わせて、色んな場所で暮らす生活が理想なのではないかと。
最終的には、どんな境遇の人も同じスタートラインでチャレンジできる環境を整えたい。不動産が可動産になれば生活コストを下げることができるのと同時に、コミュニティを変えることで多くのトライ&エラーできるようになるはずです。」

 

——皆さんのプロジェクトの目標を教えてください。

 

竹村「しいたけ出汁の旨味を世界平和の一助にすること。戦地で出汁を配って変化を検証したいです。」

 

青木「可動産の可能性を探求すること。日本は課題先進国と言われており、インフラを全国均等にするため、莫大の税金が投与されています。そのお金を教育や福祉に充てるべきではないかと。人々が流動性を持つことで実現できることがあるのではないかと思っています。

 

 

全人類が移動式住居に住めば良いと思っているわけではなく、あくまで選択肢のひとつとして考えてもらいたいです。

社会のレールに沿って存在しているコミュニティで生活しており、息苦しくてもそこから抜け出しにくくなってしまっている人がたくさんいます。彼らに対して、逃げ道を作る一手段として提案したいです。」

 

河野「人のものの見方を変えること。そのためにRGBライトなどのプロダクトを製作しています。」

 

星野「外国人が考える日本と日本人が考える日本を合わせること。イタリアでスーツの勉強をしていたとき、外国人のほとんどが「ふんどし=日本のウェア」という固定観念や幻想を持っていることを知りました。
だからあえて、「渋谷のスクランブル交差点ではみんなふんどしで歩いている」と言いまくっていました。幻想を日本から表現することで、新たな文化を外国人と一緒に作っていけたらと思っています。」

 

——取り組んでいるモノ/コトは、課題解決型?それとも問題提起型?

 

星野「ふんどしに課題ありますかね(笑)。それでも、妊活や男性機能の向上というテーマでも活動しているので、2〜3割は課題解決型と言えるでしょうか。」

 

河野「どちらのケースもあります。ただ、「みんなが同じ方向に行くようなサインを考えてください」という要望よりも、「見えないものを見えるようにしてください」というような要望が多いので、どちらかと言えば問題提起型の方が多いかな、という感覚です。」

 

竹村「結局どちらもコインの裏表だと思います。例えばウォーホルの作品のように、大量生産という問題を提起すると同時に、それを表現するという課題を解決するアート、といったケースもよく見られますし。」

 

青木「僕の行動原理は全て世の中の怒りから来ているので、ただその怒りを解決したいと思っています。怒りの根源である課題を解決をしているなかで、社会に問題提起をしていきたいです。取り組んでいる移動式住居BUSHOUSEも、ヒッピーのように社会から切り取られた存在にしたくはないんです。常に社会のみんなと繋がりを持って、理解されるプロダクトにしたい。その両輪は意識してやっています。」

 

——創造性と生産性のバランスの取り方

 

星野「そもそも、創造性を高めるために生産性を高める必要があります。バランスというより、寝る、栄養を摂取する、運動する、といった基本的な行動を怠って生産性を落としてしまうと考える脳の余剰が減るので、創造的にはなれません。」

 

河野「私もその2つは相乗効果であると考えています。創造性を向上させられるように体に合った生活を送るように注意しています。」

 

竹村「創造性を切り離した生産性は不要ではないでしょうか。自己由来である創造性(=Creativity)を誇れたらそれで良いと思います。」

 

青木「自分にはどちらもないです。全て「世の中をこういう世界にしたい」という圧倒的なビジョンに基づいて行動しているので。ただ、自分のチームの中には創造性もあるし生産性もある子もいて、お互いにリスペクトしつつ、うまくピースが組み合っていると感じます。」

 

——100BANCHに入居して、やりたいことはやれてる?

 

青木「やれています。21歳のときいろんなことがあって、2年ほど引きこもって野球中継しか見ていませんでした。何かやろうと思っても、どうしても外に出れなかった。それが、100BANCHにエントリーしたことで、一気に加速して前に進めました。100BANCHの事務局メンバーはもちろん、今日来てくださっている乙武(洋匡)さんにも支えてもらって、また頑張っていこうと思えたので本当に感謝しています。」

 

 

——乙武さんから、一言お願いします。

 

 

乙武氏「4年ほど前から青木大和くん含め大学生を中心に集めて私塾を始め、若い人と活動をしています。
世の中には、「若者を応援している俺」に酔い、カタルシスを感じる「若者応援おじさん」がいます。彼らは、その若者が調子が良いときは近づき、悪いときは離れていきます。そんな風にはなりたくない。
僕は、その子が上手くいっているときはいろんな人が応援してくれるので離れて応援して、逆にしくったときには近くで応援するようにしています。上手くいくときもあれば、いかないときもある。どんなときも、みんなで支え合っていければ良いと思います。」

 

来場者参加型Q&A

——活動と労働のバランスにおいて、時間の使い方は工夫していますか。

 

河野「時間を区切ること自体が負荷なので、感覚的にやっています。タスクと期限をインストールして、極限まで自由になれるように行動します。」

 

星野「僕はタイムマネジメントが苦手な性格なので、制限は必要ですね。ある程度予定を決めていないと、新しいことやりたいときにエネルギーが残ってないので。オンとオフをはっきり分けるようにしています。」

 

竹村「最終的に同じ方向を目指すマルチタスクを複合して、シングルスレッドにしています。それぞれのタスクがバラバラのマルチスレッドになると、集中できないので。」

 

——頭を使っていない時間はありますか。

 

竹村「ほぼ使っていません。(笑)」

 

河野「あります。意図的に頭を空っぽにしないと、何も入ってこないので。」

 

星野「ジムでワークアウトして、頭を空っぽにしましょう!」

 

 

ふりかえり

最後に、登壇者それぞれがイベントをふり返ります。

 

星野「やりたいことを考えずにやりたいことをやれていました。環境の力は大きいと実感しています。」

 

河野「やりたいことがわからないとき、角度を変えてみれば螺旋で進んでいたりするかもしれません。宇宙は際限なく膨張してるので、結局は何でもプラスになるのではないでしょうか。」

 

竹村「『やりたいこと』って求められている感じがして、怖いですよね。マウントに近い何かを感じます。自分は『やってみたいこと』しかないです。椎茸も昔からやってみたいことでもなかったですし。堅く考えずに、『ちょっと試してみたい』を実践していくだけでいいと思います。そのうちに、少しずつ応援してくれる人が増えて、食べていけるようになりますよ。」

 

大和「やりたいことをやれる環境って恵まれていますよね。自分は障壁が大きいものに取り組んでいるので、場所やメンターという形で背中を押してもらえるのはありがたいです。」

 

松井(司会)「コミュニティセンターを作りたい、という卒業論文を書いたのですが、当時は理解されませんでした。十数年経って、その念願がこの100BANCHで叶ったことに感無量です。」

 

 

「自分が心からやりたいこと=活動」とし、ハンナ・アーレントが提示した「人間の条件」の「活動」以外の要素と対比を作ることで、活動を色濃くみせた今回のクロストーク。

 

これからは、それぞれの要素を切り離して考えるのではなく、それらの要素や人間のつながりを組み合わせることで、人間らしい人間のあり方が見えてくるのかもしれません。

 

クロストークイベント「人間の条件 – Vita Activa – 」の直後、BUSHOUSE出発式が執り行われました。BUSHOUSEはここ渋谷から、世界に向かって旅立っていきます。

 

BUSHOUSE代表 青木大和

 

青木「日本の普通免許で乗ることができる一番大きな車がこの29人乗りのマイクロバス。BUSHOUSEは『不動産から可動産』をテーマに、移動しながら生活する人がこれから増えていくのではないかという仮説を元に作りました。この完成したばかりの瞬間を皆さんと共有したいです。」

 

パナソニック ホームズ株式会社 常務執行役員 高橋健一氏

 

高橋氏「今から約50年前、『ピンキーとキラーズ』というユニットがおしゃれなキャンピングカーで日本を周る番組企画があり、当時私は憧れの眼差しでテレビを観ていました。BUSHOUSEの話を聞いたときに当時の記憶が蘇ってきて、非常に興味を持ちました。
パナソニックホームズは不動産を主な事業としていますが、これからは可動産の可能性も考えていきたいですね。シナジーで一緒に色々な仕事ができたらと楽しいだろうな、とも思います。皆さんと共に応援していきたいです。」

 

カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏

 

楠本氏「社会人になろうとするとき、コミュニティの場を作りたかったので大手ディベロッパーの面接を受けました。当時タンカーが余っているということで、タンカーをマンションに変えて平べったいスペースを映画館にして、世界中を移動している間にみんなで映画を観たりできる住所不定の家を作りたい!と言ったら『君の来るところではないよ』と言われました(笑)。
当時は変態扱いされましたが、不動産は必ず可動産になると思っていました。それなので、BUSHOUSEの実現は感無量です。今後いくらAIが利用されても、皆さんはより人間らしい感性で地球を引っ張っていく時代のリーダーになると信じています。ぜひ一緒に旅をさせてください。」

 

乙武洋匡氏

 

乙武氏「昨年、1年かけて37カ国を旅しました。面白かったのは、ナイジェリアの水上生活者の街。日本で当たり前の生活をしていると、水上の生活など想像もつきませんが、彼らにとってはその生活が当たり前で、逆に陸上での生活が考えられない、と言うんですね。常識って、環境が変われば変わるものなんだな、と実感しました。BUSHOUSEも似た発想があります。
一軒家なりマンションなり、そこにあって動かないものを家と認識している僕らにとっては、『家が動く』なんて常識的ではないし、そんなことが可能なの?と思ってしまいますよね。でもやってしまえば意外と、その方が心地よいという人もいるかもしれない。
そういう人に新しい選択肢を提供できるというのは、素晴らしい可能性を秘めていると感じます。通常バスというのはA地点からB地点までの移動を繋ぐ乗り物ですが、BUSHOUSEは現在から未来へと繫ぐ、そういうものにもなりうると思っています。」

 

リーダーを支えたメンバーにも労いの拍手が送られます。

 

「BUSHOUSE!」「しゅっぱーつ!」

 

WRITER

100BANCH編集部

芦沢 恵利香

大手IT企業でデジタルアーカイブソリューション展開を経験後、動画メディアベンチャーにてコンテンツ企画を担当。人々の日常に焦点を当て執筆活動も行う。学生時代はフィンランド留学ブログ「Run the World」を運営。横須賀市出身。

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