獅子舞にとって暮らしやすい都市とは?生活の豊かさを測る新しいフレームを創造する

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SHISHIMAI habitat city (Shibuya edition)

プロジェクト概要

日本全国300件以上の獅子舞を取材してきた知見を生かし、渋谷に獅子舞が生息するとしたら道順、舞い方、獅子のデザイン等はどうなるのか?を想定し、実際に舞い歩く。現在、渋谷で地域の家を一軒一軒を回る「門付(かどづけ)型」の獅子舞がいる話は聞いたことがない。それでもあえて、渋谷で想定されうる獅子舞を創作したい。獅子舞の生息は「経済的な余剰」「空間的な余白」「他人に対する寛容さ」など様々な既存概念とリンクする。それらを総合して獅子舞にとって優しいマチとは何かを考える。

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  • #エンターテイメント

動機

発想の原点は徹底的に獅子舞という専門性を追求してマニアになることによって、街が今まで と違った景色に見えてくるという面白さだった。獅子舞な視点で景色を眺めてみると、都市空 間の中でも居心地の良し悪しがある。これは空間的な余白や経済的な余剰、他者に対する寛容 性など、様々な既存概念とリンクする。また、私たちの視点は伝統的な獅子舞のあり方を肯定 も否定もしない。今まで伝統的な獅子舞を受け継ぐ、地域の当事者になったことがないからだ。 一方で地域を転々と取材することで得られた知見を生かし、神出鬼没に遊び感覚で都市に獅子 舞を出現させ舞い歩くことに快感を覚えるようになった。

仮説

獅子舞を仕掛けられた地域側から見るとマレビトの出現にも思えるかもしれない。この突発的 な行動が、狂気的であればあるほど、ジェンダーや障害、マイノリティ的な人種、思想を持つ人、あるいは大きな体を持つ人間や動物などの受け皿を可視化していく側面を持つだろう。一 方で獅子舞が生息できるだけの空間的なキャパシティが無いとか、獅子舞を受け入れる寛容さがないとか、そういう負の側面も抽出される。これらを記録することで、一人一人の多様な特 性に配慮した都市の暮らしのあり方を提示することに繋がるだろう。渋谷に関して言えば、日本全国の平均よりも圧倒的に獅子舞が生息しにくい環境であるという仮説を持っている。

実験

①まず、獅子舞が生息できる場所を可視化する地図と、獅子舞が実際に渋谷駅周辺を通るとしたらどこを通りたくなるか?を示した地図を作ることから始める。 ②その後、獅子舞の生息可能な場所で、地域住民などと交流しながら素材を集め、獅子舞の道具である獅子頭や胴体、楽器などを創作する。 ③完成した獅子頭や胴体、楽器などを持って街に出て、実際に考えたルート上を舞い歩きながら、その場にいる人々のリアクションを検証する。また、生息不可能な場所はどのようにしたら生息可能になるかも考え、最終的には獅子舞の生息可能性を文章や動画にまとめる。

目標

・渋谷の街に獅子舞が生息するかを検証するために、MAP作りや獅子舞の創作・演舞等を実 施。

・メンターの方々や入居者の皆様との交流の中で様々な気づきを得て、コラボレーションも行 いながら、少なくとも5つ以上の新しい実験的なアプローチを生み出す。

・次に獅子舞生息可能性を検証するべき都市を定める。

未来

獅子舞という異形の生物が空間や人の気質に潜む障壁を顕在化させ、それを記録し続けることで人の個性に配慮した心地よい暮らしが提案される。例えば、建築基準法が変わり「獅子舞フリーな建築」が勃興したり、顔が見える関係の中で問題が解決されることで監視カメラや警察 が存在しなくなったりする世界が訪れるだろう。

リーダーインタビュー

  1. あなたはどんな風に育ちましたか?
    陸上競技を8年間していたため、足腰の強さに自信があります。大学通学では毎日10kmくらい歩いていました。東京から石川まで約500kmを2回歩いたこともあります。ある時、博物館で展示を見ていたらなぜか獅子舞の鼻に惹かれ出して、好奇心と体力の赴くままに獅子舞の鼻の写真を撮り始めました。様々なご縁が重なり、いつの間にか日本全国の獅子舞を300件以上取材していることに気がつきました。
  2. 渋谷の街のエピソード
    渋谷の写真の学校に通っていました。MARUZEN&ジュンク堂書店はよく利用します。
    PARCOの獅子舞生息可能性はおそらく高いでしょう。
  3. メンバーたちの意外な一面
    パフォーマーの工藤さんは1日中、寝続けられるプロ。一方で、美術家の船山さんは1日中、
    マグロのように動き続けられるプロです。
  4. 意気込みをお願いします!
    獅子舞を神出鬼没に出現させ、渋谷の話題をかっさらいます。

PROJECT TEAM

稲村行真

獅子になる人など

民俗芸能の取材、研究、作品制作などを実施。日本全国300件以上の獅子舞を取材して記事を執筆している。身体的に土地を繋ぎ記録する「東京~石川500km徒歩」(2017, 19年)、石川県加賀市の獅子舞を取材して発信する「KAGA SHISHIMAI project」(2019年~現在)などのプロジェクトを展開。獅子舞のフィルターを通して都市を見るという視点で、全国各地を舞い歩いている。<獅子に対する想い>厄払い行動を必然的に行なっている身体性があり、自然に獅子舞的な生き方をしているように感じます。

工藤結依

獅子になる人など

幼少から自身の存在が在ることや命の存在に興味と疑問を持っている。自身の肉体や生体反応が作品の一部として存在し、鑑賞者と干渉するパフォーマンスやインスタレーションを軸に制作活動を継続中。身体内部へのフィールドワークと身体外部への探求を相互に行う活動を実践している。昨年は体温をテーマに個展「余熱-ほとぼり-」を開催した。 <獅子に対する想い>「シシ」という存在を通して自分ではない何かに変体してみたいと思います。

船山哲郎

楽器をする人など

建築の設計やリサーチ手法をベースとしたインスタレーション作品の制作や、空間デザイン、地域活性化事業への参加など、活動は多岐に及ぶ。近年では、「新しい茶の湯のためのスタディ」と題して、伝統的な形式にとらわれない茶室や茶会のあり方を模索するための実験的な活動を継続している。 <獅子に対する想い>都市は誰のものなのでしょうか。獅子のものでもあると思います。

mentor石川 俊祐

KESIKI inc. Co-founder

1977年、茨城県生まれ。Central St.Martins卒業後、Azumi Design Studio,Panasonic Design Company,PDD Innovation UKのCreative Leadを経て、IDEO Tokyoの立ち上げメンバーとして参画。Design Directorとして数々のイノベーションプロジェクトをリード。BCG Digital VenturesのHead of Designを経て、現職。分野を超えたイノベーションプロジェクトやデザイン経営に従事。複数社のアドバイザーも兼務している。
D&ADやグッ ドデザイン賞、全国各地のデザインセレクションなどの審査委員を歴任。単著に『HELLO, DESIGN 日本人とデザイン』 (幻冬社)など