EVENT REPORT

2022.04.14 Thu

制作者と観客との語らいで、映画のイマジネーションを深める時間を創出。「映画のあとの、100物語」イベントレポート

  • #Diversity & Inclusion

  • #COMMUNICATION

究極の映画イベントプロジェクト「ORQUEST」のメンバーである石原弘之さんが代表を務める株式会社ポルトレが、新たな試みの映画イベント「映画のあとの、100物語」を100BANCHで開催しました。

今回実施した「映画のあとの、100物語」は、劇場公開を控えた新作映画を、その日100BANCHに集った人々と一緒に鑑賞し「映画を観たあとに、どんな言葉を交わすか?」を主題に据えて取り組んだイベントです。

映画をつくった張本人である製作者(キャスト・スタッフ)自身が、映画についてどう感じたのかを言葉にすることで、いま観たばかりの映画に対するイマジネーションをより深めていけないだろうか、観客のみなさんと一緒に映画の中身についてじっくり深めていく時間を創出できないだろうか、という実験テーマを掲げて取り組みました。

上映した2作品は、 国際映画祭で30以上のアワード受賞を成し遂げた『Kay』と、鏡像的に作られた挑戦作『終点は海』です。4月9日から下北沢トリウッドで公開する2作品を、上映に先駆けて100BANCHで上映しました。

どちらの映画も「ひ弱に揺らぐ小さな生」というテーマを切り取ったショートフィルムの2作品です。

親子という題材を軸に、小沢和義/片岡礼子×七瀬可梨(Kay) 洞口依子×清水尚弥(終点は海)ベテラン俳優と若手注目株が熱演をし、メガホンを取ったのは新鋭の監督・鯨岡弘識。小規模ながら、リハーサル・設定を綿密に構築する作風で映画として結実させました。

(上映した映画のチラシ①)

 

(上映した映画のチラシ②)

 

(会場となった100BANCH 3F LOFT。40席が満席となりました)

イベント当日は2作品を上映したのち、作品の出演者や制作者によるクロストークイベントを実施。来るストークゲストには「Kay」出演の七瀬可梨さん、伊藤歌歩さん、「終点は海」出演の清水尚弥さん、「Kay」「終点は海」監督の鯨岡弘識さん、「Kay」エグゼクティブ・プロデューサー/配給中嶋雷太さんにお越しいただきました。

映画を観たあとに、何を感じるか、というのは人それぞれです。そこに正しいも間違いもなく、十人十色だからこそ、映画を観る行為は、面白いと言えます。

そのためクロストークイベントでは、出演者と製作者の双方から言葉を引き出し、先ほど観た映画について純粋に自分自身が感じた想いを聞きました。

来場いただいた観客の皆様は、観たばかりの映画と、その映画に出演したキャスト、製作したスタッフの言葉を通して、映画を立体的に把握し、味わいを深めることができる仕掛けを施しました。

具体的には、製作者側からの一方通行の宣伝用裏話ではなく、観客の皆さんの映画を見終わったあとの会話の呼び水の一つとなる話を、製作者や演技者に語っていただけるように努めました。

当日は、まさに老若男女さまざまな世代の方にお越しいただきました。

来場いただいた方からの感想として、「ただ映画を観ただけでは分からなかった裏側のことや、映画をつくった人たちのリアルな言葉が聞けてとても新鮮だった」という反応や、「自分なりの映画の見方の幅が広がりました」というポジティブな反応が数多く見られました。

(七瀬可梨『Kay』主演/鯨岡弘識監督/中嶋雷太エグゼクティブプロデューサー)

 

(伊藤歌歩『Kay』出演/清水尚弥『終点は海』主演)

 

今回のイベントで上映した映画『Kay』『終点は海』の2作品を、その日100BANCHで鑑賞してみて、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」という言葉を思い出しました。「とにかく生きて居てくれれば、それでいい…」という切実な想いがスクリーン越しから物語を通して伝わってきました。

100BANCHという空間で観たことで、やはり映画とは体感するメディアなのだなと感じました。つくり手が用意した船に乗り込み、音を浴び、観るものを楽しみ、終着点までともに旅をする。他人から障害や干渉を受けることもそうない。一対一で向き合う醍醐味。これが映画の良さであり、他のエンターテイメントとは決定的に違うところだと改めて感じました。

観る人が違えば、感じ方も違う。それが映画鑑賞の醍醐味であり、映画を観ることで、新しい自分を発見するというのは、つくり手から受け取った情緒的な想いに、自分自身のこころが揺さぶられる証だと思います。

そして、映画には始まりと終わりがあり、時間という縛りの中で、最終的にはエンディングを迎えます。そして、人間の一生というのも同じく、誕生と死があり、その時間軸の中で、さまざまな思い出をかたちづくって、そしていつか終わりを迎えます。

映画の中の物語が終わっても、実人生という名の物語は、それぞれのカタチで続いていきます。だからこそ、人は映画を観るのだと感じました。

今回のイベントを経て、今後、どのような未来をつくっていきたいかという点にも思いを馳せてみます。映画が、芸術やアートといった延長線上の言葉のみで語られず、誰しもが参加できるビジネスを語る言葉として、映画についての会話が飛び交う社会をつくっていきたいという想いを抱きました。

映画は、人とモノと資本によって成り立つメディアですが、その3つをどのように豊かにし、観客の皆様へどのように届け、受け入れてもらうか、ということを真剣に考えていきたいです。

(映画『Kay』『終点は海』は4/9日より下北沢トリウッドにて劇場公開)

WRITER

ORQUEST プロジェクト

石原 弘之

株式会社ポルトレ代表取締役

1987年11月16日愛知県生。中学生の時に老人介護施設を記録したドキュメンタリー映画を自主制作。多摩美術大学卒業。『風待ち』で調布映画祭2014ショートフィルムコンペティション奨励賞。企画・プロデュースの『PORTRAIT ポルトレ』が全国3館にてロードショー公開。2015年7月株式会社ポルトレを創業。2016年ジャパネットたかた創業者・高田明氏に密着したドキュメンタリー映画「伝える人—高田明へのプレゼン−」を制作。2017年に企画・製作した浅草の老舗パン屋ペリカンのドキュメンタリー映画『74歳のペリカンはパンを売る。』が全国17都市にて公開。ロングラン上映を続けている。