LEADER INTERVIEW

2018.02.21 Wed

RGB_Light 河野未彩 × 関谷武裕:
光の先にあるもの——【後編】
「ワクワクを現実に」プロダクトで現象という“体験”を生み出す

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「10年以上も前に考案した照明器具を、どうしても製品化したい」
フリーのグラフィックデザイナーでありアートディレクターとしても活躍する河野未彩さんは、「この場所なら実現するかも」と夢を描き、100BANCHでRGB_Lightプロジェクトを立ち上げた。

10年以上のブランクで消えかけていた光は、様々な領域が混ざり合い変化することで輝きがよみがえり、不思議でワクワクする光として、私たちの前に現れた。

果たして、この光は社会にどのような影響を及ぼすのか。河野さんと、プロジェクトのメンター・関谷武裕さんの対談は後編へとつづきます。

関谷 モノができる前まではどんな風に出来上がるかイメージがあまりできなかったけど、こうやって実物をみると、ビックリするよね。

河野 デモ機は既製品の3灯ライトで作っていたから、一応の現象にはなってたけど、完成してはじめて、私が何をしていたのか周りの方が理解してくれたというか。全部を作ってはじめて人に伝わものなんだなって経験になりました。

関谷 言葉で説明するって難しいからね。

河野 このライトはプロダクトを介して光を体感をするものなんです。音楽もそのひとつ。ワクワクする体感、言葉で説明するものじゃないものそういうものに価値を感じていたので、体感できる照明ってみんなにとって面白いって、ずっと思っていました。

関谷 このライト照明に使ってるバーに行ってみたいもんね。グラスを通過した光の変化見ながら、その現象について考えだしたりして…ハマりそう。

河野 バーを開いてる友達が、「このライト、お店に置きたい!」っていってくれたり。あと、比較的、音楽好きな方反応してくれますね。サイケデリック体験みたいな。

関谷 そうだよね。

河野 昔はVJをやってRGBを操ってたから、そういう視点だと、このライトが放つ光は、サイケデリックな体験でもあるなって思います。子どもの反応がよかったのも、うれしかったですね。

関谷 河野さんはこの「RGB_Light」プロジェクト、光の三原色体験を通じて、どんなことを感じてほしい?

河野 ものの見方に一石を投じたいですね。普段当たり前にみているものも少し角度を変えるだけで見え方が変化する。その違和感や新鮮さ、気づきを感じてもらったり、そのさきの世の中に対する疑問に気付いたり。そんな、きっかけになったらいいなと思います。技術やテクノロジーが進歩していくと、自分が理解できないブラックボックスに操られてるみたいな恐怖ってあると思うんです。

関谷 うんうん。

河野 たとえば、みんなが疑問もなく携帯電話を使っている姿を見て、「仕組みを知らなくても、簡単に使るものが増えてきたな」って感じてました。だから、人はものに対して、もっと根本的な現象を知ったほうがモノとの距離感が埋まるんじゃないかな。こういう原理の積み重ねでモノができているって感覚を得られるというか。

関谷 モノの仕組みがわからないと、わからないなりのコミュニケーションになるし、そうするとモノとの信頼関係築けないもんね。愛着も生まれないし。

 

関谷 今後、このライトから派生した商品ってなにか開発したいと思う?

河野 まずはRGB_Lightを商品化したいですね。ペンダント型以外の色んなタイプのものも考えいています。

関谷 このライトって、改良版があるんだっけ?

河野 そうそう、あるんです! これはレンズ自体に色がついてるから、光の色は変えられないけど、改良版はレンズが透明で、光が赤・緑・青になっているんです。リモコンで光を3灯全部白にしたり、RGBの色相をグルグルさせて一定色のまま、影だけ色が変化するタイプを開発中です

関谷 それできたら、ヤバいね。

河野 それだと、たとえば、普段は白のライトを使ってて、子どもが遊ぶ時とか、パーティの時とか、使いたい時だけ切り替えて楽しめます

関谷 その変更って、けっこう大きいよね。

河野 それを、なんとか100BANCHにいるあいだに製品化したいんです!

関谷 ぜひ製品化してほしいな。あと、このライトを使っているお店に行ってみたい。

河野 100BANCHの1階、「LAND Seafood」のバーカウンターで期間限定で設置してみようって話もあります。

関谷 そこには河野さんが立っててほしいけどね(笑)。

河野 えー、邪魔じゃないかな(笑)。

関谷 (笑)

関谷 僕は100BANCHのメンターのなかで、よくわからない部類だと思ってて(笑)。でも、僕じゃないと採択しないようなプロジェクトがあったほうがいいって考えてるんだ。

河野 関谷さんみたいにカルチャーの視点を持っている人は、わかりやすく役立つものより、もう少し深いところで人間に必要なものを選ぶのだと思うんです。

関谷 100BANCHに携わるってみると、テック系の人がとっても多かった。学生のころからプロジェクトが身近な人たちが多くて……。でも、僕はそもそも「プロジェクトって何?」って感じだったから(笑)。

河野 私も!(笑)

関谷 「プロジェクト」って言葉に驚く人間が、メンターになってるのも不思議なんだけど(笑)。僕がこれまでに採用したプロジェクトは、実際に会ってみて、本当にやりたい! って狂った熱意を感じた人たちなの。「なんでこんなことを、こんなにやりたいの?」って思うんだけど、会って納得できればいい。要は気持ちだから。

河野 とっても共感します。

関谷 あと、100BANCHのメンターになって、普通では交わらないようなコミュニケーションが生まれていることが「100BANCHっていいじゃん!」って思ってるね。知らない人が得意分野で助け合って、新しいものが誕生するような関係がね。

河野 私も体感したからなあ。

関谷 制作にあたって、実際にサポートしてくれたのは大嶋さん?

河野 そうですね。大嶋さんはもちろんですが、岩佐さんやCalteraチームのサポートもとても大きかったです。

関谷 実際にどんなサポートを受けたの?

河野 大嶋さんには具体的に基盤設計者を紹介していただくなど、発想を現実に落とし込むサポートをしていただきました。岩佐さんには、プロダクトを作る過程で必要なキーワードやヒント与えていただき、それらを自分で調べていくうちに、どんどん周りが見えてきて。

Calteraチームは作業過程で半田ゴテがうまくいかなかったり、電気のことでわからなくてオドオドしてたときに、教えてもらってとっても助かりました。Monoconnectチームにもプロトタイプ製作の初期3Dプリンター使わせてもらっています。

関谷 いろんな助けがあったんだね。

河野 本当にありがたかったです。100BANCHでプロジェクトを進めるうちに、私とはちがう分野の脳みそを垣間見れるし、自分のやるべきことも再確認することもできました。

 

プロトタイプ制作を手伝っている他のプロジェクトメンバー

関谷 河野さんみたいにデザインの仕事をしてる人って100BANCHで貴重な存在だから、いろんな分野の人がもっと河野さんを頼ってもいいんじゃないかな。

河野 私も、違う分野の人にずいぶんお世話になったから。

関谷 僕は美大出身だからなのか、文系の人のプロジェクトを採択してるけど、そこから理工系の人と交わると、面白いものが生まれるはずだよね。

河野 ファッションとか音楽もいいですよね。パナソニックさんから離れていくけど(笑)。

関谷 でも、離れていく方が面白いじゃんって個人的には思うな。会ってみて、面白そうだったら僕は積極的にサポートしていきたいな。

パナソニック津賀社長にRGB_Lightのプレゼンをしている様子

前編

 【LEADER INTERVIEW】 RGB_Light 河野未彩 × 関谷武裕

光の先にあるもの—— グラフィックデザイナーがプロダクトをつくる理由

WRITER

100BANCH編集部

船寄 洋之

writer / gallery / coffee

鳥取県生まれ。アパレルメーカー、出版社を経て、横浜・反町にH.Funayose galleryをオープン。ギャラリー運営のほか、ライター業や出張コーヒースタンドもおこなう。