EVENT REPORT

2018.03.26 Mon

薬草の知恵をソーシャルに学びつなげる
薬草大学Norm -Herb × Social Medicine
〜おいしい食卓は きっと社会の薬になっていく〜

  • #トークイベント

  • #食

  • #シンポジウム

私たちの食卓は、どこへ向かうのでしょうか?
暮らしの中の食、街や風景が作る食、仕事や研究から捉えた食…それぞれが健やかに循環するための道標を探したい。

薬草大学NORMは、医・農・食から私たちの「当たりまえの暮らし」を見つめ直し、つながるための連続レクチャーシリーズ。その第1回目として、トークと薬草茶のペアリングを楽しむシンポジウム形式のイベントが2/25に開催されました。

今回は3つのトークセッションとDinner Gatheringで美味しい料理も登場するお腹いっぱいのイベントとなりました。

開場入口の受付では素敵な薬草大学 生徒手帳と学生証が配布され、今回のイベント参加者は薬草大学への入学生というスタイル。

まずは、The Herbal Hub to nourish our life プロジェクトのリーダーである食卓研究家の新田理恵より薬草大学開講の挨拶でイベントはスタート。

「私は管理栄養士として、どうやったら食卓をアップデートできるのか考えた時に、100年以上前から愛されてきた薬草文化がおもしろいし、有効にはたらいてくれると感じた。(薬草茶をつくるなかで)北海道から沖縄までいろいろな産地を巡り、生産者に教えていただきながら発信してきたが、そこで得た学びをもっとみんなと共有したい」と、NORMを立ち上げた経緯を説明しました。

持続可能な未来のために、組織と個人ができることは?個人の想いも織り交ぜながら事業を動かしてこられたお話を中心に、グローバルとローカルの視点を交わしながら日本のこれからのヘルスケアのあり方と次の一手を見つめるセッションです。

「国と街のヘルスケアビジョンと、いのちを大切にする共同体」をテーマに、飛騨市 企画部 総合政策課長 野村久徳さん、東京女子医科大学 国際環境 熱帯医学 杉下智彦 教授にお話頂きました。 

 

野村さんは、飛騨の自然・薬草をキーワードに自然環境と健康の秘訣・豆知識をご紹介頂きました。現地でご活躍されている、野村さんだからこそ発信できる飛騨の魅力が盛りだくさん。会場に持参頂いた、飛騨のクズのワインは、フルーティな香りのお酒でイベントでは大人気となりました。

東京女子医科大学 国際環境 熱帯医学 杉下智彦 教授は、アフリカの薬草世界についてお話頂きました。アフリカでは生活を豊かにするためは薬草やシステムがあります。社会全体の疾病を包括して治すことができる伝統医療において、薬草の役割は無限大です。

アフリカ人は貧しいのも病気と考えられ、失恋の薬が一番売れるそうです。薬草を通して家族の問題も治します。西洋医学と共存しながら伝統医療や薬草は、より豊かなより生きやすい世界を作る可能性を広げます。

飛騨にピンポイントにフォーカスを当て家族感も感じる身近な深い知見を持つ野村さんのミクロの視点と、アフリカ各国を舞台にグローバルにご活躍された杉下教授のマクロな視点のクロストークは、思わずメモをとってしまう内容ばかり。薬草は社会を癒します。生活のちょっとした悩みや疲れを癒してくれる存在として薬草は重要な立ち位置に立つことでしょう。

「Botanic Future 植物が切り拓く未来」ではいのちを養う植物の力を、暮らしや産業へつなぐために 。薬用植物の可能性についてや国際的動向、それを商品化するときに関わる法律との寄り添い方などをお話しいただき、薬用植物の活用について模索しました。生物学×法学のセッションです。

東京大学 農学部生物測定学研究室 岩田洋佳 准教授はデータ科学とゲノム科学を融合し、植物の育種を高速化・効率化するための研究をしています。「生命科学の発展に関して、安易にマスコミの言ってることを信じないで科学者の技術に対して懐疑心を持たないで、自分の目で確かめて受け入れて欲しい。」と、今後の生物学の無限大な可能性をお話頂きました。

株式会社ツムラの近藤さんは生薬の研究員として活躍されています。植物薬・漢方が市場に出るまでいかに、さらに複雑なプロセスがあるのか専門家の視点でお話頂きました。安定供給が出来てこそ、新薬完成のゴールです。

今回は、ニンジンを例に生薬の知識について専門家の立場から解説して頂きました。医薬品はグローバルスタンダードに医薬品規制調和国際会議(ICH)が医薬品の規定を作っています。

小野田高砂法律事務所小野田峻 弁護士は、一つの課題を解決するには、その分野の専門家だけが集まっても変えることは出来ないと考え「学び直し」・「学びほぐし」をキーワードに弁護士として活躍しながら防災・社会起業家の支援・シェアオフィスを併設した法律事務所を運営されています。

新しいものは境界線で生まれます。薬草を新薬として商品開発したいニーズが高まる一方、肥料や農薬の問題、生産効率の課題など専門家の立場からビジネスとして展開する難しさを教えて頂きました。

100BANCHのNow Aquapinics!プロジェクトの邦高柚樹さんも登壇。アクアポニックスは「農/食×健康×不動産=人に優しく、地球に優しい世界を作り出す」ことをテーマにプロジェクトを進めています。邦高さん自信、新薬を開発を目的に薬草育成をトライしたこともあります。専門家の皆さんのお話を聞き、ビジネスとしてスケールさせることの難しさを体感したようでした。

民のための文化は、生きる術を編む「民藝と薬草のグラスルーツムーヴメントとものづくり」がテーマです。グラスルーツの文化から、美と価値を見出そう。名もなき民が作ってきた暮らしの文化と生きる知恵。そこに価値を見出してきた民芸の現代のライフスタイルに合わせた提案につなげるセッションです。

西会津国際芸術村 ディレクター・コーディネーター、YYDESIGN LAB. 代表、一般社団法人BOOT 代表理事矢部佳宏さんは、「地方の消滅=地方の文化DNAが消滅すること」と定義し、暮らしの文化と生きる知恵を発信するには、地方の経済活動に対する不安があるとお話されました。例えば、ヤマブドウのように、元々は商品でなかったものが商品化されると、乱獲や地方の美しさのバランスを破壊し、商品になったことでの不安が発生することもあるのです。

明治大学 理工科学研究科 鞍田 崇 准教授は専門は哲学で、『民藝のインティマシー: 「いとおしさ」をデザインする』など民藝に関する書籍も執筆されています。「21世紀は無数の小さな矢印の時代」とお話頂きました。

2拠点居住・年に何回か行く場所や住まいなど新しい暮らしを考えていくことで、人間臭い幸せを考えています。美と価値の理解に対して、「愛お労し=intimaccy」をキーワードにほっといても大丈夫なものに人は愛おしいと思わない、この感性が問われているとお話しされました。誰かがいるからその場所にいくことが出来、そこに今後の可能性があります。単発にするのではなく、ネットワーキングして繋がり方を求められる文化が必要です。この動きを繋いでいくことが今後の私たちの役割になりそうです。

株式会社枻出版社 Discover Japan統括編集長 高橋 俊宏さん。「Discover Japan」は日本の魅力(こと・もの・場所・人)を”再発見”する雑誌です。日本の良さを再度発見し伝えていく。「Discover Japan」は日本の良さのルーツを知り、そこを伝えることを大切にされています。

座学ではなく現地現物、もっと自然に触れて、興味関心で調べてみる楽しさを日本を超えパリのオペラ座でも発信されています。今後はDiscover Familyを作る構想があります。文化を継承する人々は増えていくため、伝え方や見た目を変えるだけで何か生まれる世の中を目指します。

▼薬草ワークショップ
「摘み草のお店つちころび」の鶴岡舞子さんより商品や山梨のご紹介がありました。今回は野草入浴剤づくりコーナー・干しぶどう・野草茶・金針菜・幻の猫じゃらしのふりかけを用意してくれました。晩餐会ではみなさんのおむずびに猫じゃらしのふりかけをかけてくれました。

▼NODOKA
100BANCHプロジェクトチームNODOKAの参画です。本日は、日本茶パウダーを使った玄米茶×苺スコーン・煎茶×ショコラバー・ほうじ茶×紫いもバウンドを用意してくれました。日本茶パウダーのテイスティングもあり、皆さん興味を示されていました。

 

▼西会津国際芸術村のプロジェクト
トークセッションでも登壇頂いた、矢部佳宏さんより西会津国際芸術村のプロジェクトの説明を頂きました。村の考え方について、構造的に概念的なお話もありました。

Dinner Gatheringでは「ジビエと薬草。目覚める野生の晩餐」をテーマに、内から元気がわいてくるような美味しいお料理が登場しました!

食卓料理家 森本桃世さんは、ヤブカンゾウと月桃と野菜のピクルス、肉巻き2種(紫キャベツ&スイパ、人参&ハマダイコン)、薬草味噌のふろ吹き大根、あつたやさんのイノシシ(ウコン味噌と月桃の蒸し焼き)、秋ウコンと当帰のポテドサラダ、秋ウコンと当帰など 体に沁みる自然ごはん薬草・発酵・ビジエ・オーガニック野菜などを活用した料理を展開してくれました。

 

100BANCHプロジェクトの旅するおむすび屋さん、むすんでひらいての菅本香菜さんは2種のおむすびを結びました。福島県西会津の荒海さんのお米、山口県百姓庵のお塩、おにぎりの具は主催の新田さんがThe Herbal Hub to nourish our life プロジェクトで開発したウコン味噌と藍でした。

 

株式会社瞬の代表取締役、株式会社BOLBOP社員の新井さんは薬草カレーを用意してくれました。新井さんは2年ほど前から働きながらからカレーを作って皆さんに振舞っています。今回の薬草カレーはウコン味噌、赤しそ、荏胡麻、月桃、ちんぴ、ナツメ、ハスの茶、当帰を使用し、西洋のスパイスよりも失敗が少なく簡単に美味しいカレーが作れるとのことでした。

素敵な出会い・学び・共感、そしてお腹も満たされた薬草大学。おいしい食卓は、社会の薬になっていく。薬草大学NORMのこれからをお楽しみに。

 

 

地域で見つけるエコの種【森ノオト】さんのレポートはこちらから。

WRITER

100BANCH編集部

#食