EVENT REPORT

2018.06.22 Fri

「違いがあるから面白い。」
MUKU主催初イベント『まちといろのワークショップ』渋谷をフィールドに開催

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渋谷の街と聞いてどんな色を思い浮かべるでしょうか?山手線の緑。渋谷サンロッカーズの黄色。実は意識をしてみると渋谷のまちにも沢山の色が溢れています。

今回のイベントはそんなまちに溢れる「色」をテーマにして、100BANCHに入居するプロジェクトのMUKUが、障がい者福祉施設のアーティストさんたちと一緒に、渋谷のまちを散策しながら色を集めて、その色でオリジナルのTシャツを作成するワークショップを実施しました。

障がい者とアートの繋がりと言われてピンと来るものはありますか?…おそらく多くの読者の皆さんには、難しい質問かもしれません。 私もMUKUに出会うまではそうだった一人でした。実は、障がい者の中には特異な才能を持ったアーティストがいて、彼らの作品はフランス語ではアール・ブリュット(art brut)と呼ばれ、海外では高く評価されているのです。

 

そんな中でMUKUが行っているのは、福祉施設に所属するアーティスト個人にフォーカスを当て、彼ら個々人がもつ「ストーリー」を作品や、プロダクトを通じて社会へ発信していくことです。リーダーを務める松田崇弥氏は、知的障がいを持つ兄がいたことがきっかけとなってこの活動をはじめ、現在は双子の兄とプロジェクトに賛同する有志のメンバーで運営を行なっています。

 

これまでに紳士洋品の老舗「銀座田屋」とのネクタイのプロデュースや洋傘一筋87年、日本製の傘を作り続ける「小宮商店」とのコラボを実施し、日経などのメディアにも出演するなど、リーダーの松田崇弥氏は今注目を集めている平成世代の社会起業家の一人でもあります。

 

そんなMUKUが今回100BANCHで初めてのイベントを主催しました。ブランドからプロジェクトへの進化を遂げたMUKUのイベントの様子を紹介します。

MUKUについて|http://100banch.com/projects/muku/

今回のイベントには一般参加の方数名に加えて、メジロックという目白にある福祉作業施設の方が協力として参加をしました。彼らは普段からアート作品を作っていて、MUKUとも長い付き合いをされています。

メジロックについて|http://ns2.ikuseikai-tky.or.jp/~iku-mejiro/mejirock.html

参加者になぜ参加をしたのかと聞くと「学生時代に美大で描いていたけど、なかなか筆を取る機会がなく、今回は面白そうな企画があると知って参加しました」と楽しそうに語ってくれました。また、参加者にはMUKUが活動を始めるきっかけとなった、松田さんの兄と家族の姿も。「まるで授業参観かよ笑」と松田さんも思わずコメントをしていました。

 

今回のワークショップは大きく3つのプロセスで進みました。

 

探す

3つのグループに分かれて、まちに色を探しにいく。気に入った色が見つかったらチェキで撮影し、どんな色が気に入ったのかをみんなで話をしてみる。

 

作る

あつめた色をみんなで観察。絵の具を混ぜて、渋谷の街にしかないカラーパレットをつくる。

 

描く

つくった色でTシャツに「原っぱ」を描く。何を描くかは自由。自分の好きなように描こう。

 

以上の流れで、イベントはスタートしました。

快晴でむしろ暑いくらいの空の下、3つのグループに別れてそれぞれ色探しを始めました。「どっちに行こうか?」「代官山の方がおしゃれでいいんじゃない?」など会話が弾みます。1つのチームは、「クレープを食べに行きたい!」というメジロックの林さんの意見に満場一致。センター街のクレープ屋さんを目的地にして歩み始めました。

普段は人ごみに嫌気が刺すような渋谷の街も、色をあつめに出てみると、普段気がつかない色がたくさんあることにはっとさせられます。足元の錆びた地面の茶色。見上げた看板の緑。ポストの赤。今日だけは渋谷の街はまるでパレットのようです。

45分ほど歩いて、沢山の色を集めながら目的地のクレープ屋さんに到着。満面の笑みの林さんに思わず笑みがこぼれます。写真を取りながら、「家族みたいだね」と、本当に仲良くなったメンバーたち。

みんなお腹をぺこぺこに減らして(クレープ食べたチームは置いておきますが……)100BANCHに戻ると、待っていたのは100BANCHのおむすびガールこと、菅本 香菜ちゃん。かなちゃんは全国を旅しながら、その土地の食材でその土地の人とおむすびを握るプロジェクト「むすんでひらいて」を100BANCHの採択プロジェクトとして実施しています。

 

「むすんでひらいて」URL|http://100banch.com/projects/musunde-hiraite/

 

 

今日は新潟のおむすび米で握ったおにぎりに、のりは宮城東松島の海苔と熊本の有明海苔の2つの海苔を用意して食べ比べ。塩にもこだわっていて、山口県長門市の春の塩を今回は使用しました。

 

あまりの美味しさにおかわり希望も。

午後は実際にTシャツの制作を開始。まずは集めた写真から好きな色を作るところから。芸大の学生さんのサポートを借りながら、思い思いにパレットを作っていきます。

みんなが夢中になって活動している裏側で、メジロックの浅海さんが「くたびれた」とお昼寝を始める……

と思ったら、急に起き出して、筆を取り出す。

起きて3分でかっこいい虎が!!ちなみに三角形は菅本さんのおにぎりだそうです。

「できた!」とドヤ顔で見せる浅海さん。参加者が圧倒されるスピードと完成度に皆さんから「凄すぎ」と驚きの声があがります。

 

他のメンバーも思い思いの作品を書いていきます。

作業から1時間。思い思いの作品が出来上がってきました。それぞれデザインについて1言コメントを聞いてみると

 

「渋谷の街を9人で歩いていろんなものを見たので、9色でTシャツに表現してます」、「散歩の途中で大根を見つけたので、大根をモチーフに描いてみました」など、それぞれの多様な視点が見て取れます。

 

イベントの最後に松田くんが語ったのは、「僕たちは同じ世界を見ているようで、それぞれ見ている世界が違う。障がいのある人にしか見えない世界もあるし。逆に僕らには僕らにしか見えない世界もある。そのどっちが美しいとかじゃなく、一緒にそれを提示して、語りながら何かを作っていくことの面白さ。ちがいを価値に変えていくことができたら嬉しいです。」そんなデザインをMUKUはこのイベントで見せてくれました。

最後にみんなで記念写真をパシャり。

Tシャツギャラリー

撮影:小野瑞季

ナナナナ祭でもMUKUが企画実施

そんなMUKUは5月末で100BANCHのGARAGE Programから卒業したのですが、100BANCHの1周年祭ナナナナ祭で、企画を実施します!タイトルは「未来の言語」、今回は100BANCHの中で言語をテーマに活動する4つのプロジェクトが合同で実施する企画です。

障がい者とのコミュニケーションを扱うMUKUの他、外国人との言語を扱うNIHONOGO、ろう者との言語を扱う異言語脱出ゲームの異言語Lab.、盲者との言語を扱うBRAIIE NEUEが障がいというハンディキャップがあるからこそ、逆に考えられるユニバーサルな未来の言語のあり方を語ります。

WRITER

加藤翼

100BANCH コミュニティマネージャー

早稲田大学文学部で哲学を専攻後、社会科学部へ転部。Boston Universityへの留学を挟んで卒業したのち、新卒で外資系コンサルティングファームに就職。アメリカ、タイなど海外プロジェクトでの業務改革に携わる。働きながら通信制美大に通い空間デザインを専攻後、100BANCHの空間設計などに興味を持ち、ロフトワークに入社。100BANCHのコミュニティーマネジャーを担当。食べることより知識を得ることが生きがい。