EVENT REPORT

2019.01.20 Sun

元国税局の芸人が教える、聞くと必ず得する税金の話 ~さんきゅう倉田氏「おとなの税金教室」開催レポート~

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社会人の実生活に欠かせない「税金」の話、皆さんはどこまで正しく理解していますか?
「なかなか学ぶ機会がなかった」という方も、少なくないのではないでしょうか。

2018年末より、100BANCHでは”楽しく学べる”税金教育のモデルを開発しようと、新たなプロジェクトが始動しています。仕掛け人は「国税局出身のお笑い芸人」という異色の経歴を持ち主・さんきゅう倉田氏。
新卒でその国税局に入り、税務調査官として2年間、法人税の賦課を担当。現在はその経験を活かし、吉本興業所属の芸人でありながら、「税金のスペシャリスト」として、日本の税金リテラシーを向上するための教育活動をしています。「小学生から高校生に、税金教室を通じて税やお金の基礎知識を学んでもらいたい」と意気込みながら、日々新たな「税金教育」の形を追求しています。

2018年12月15日には、その先駆けとし、100BANCHの事業家を対象とした特別講座を開催。普段は経営者や税理士会に向けて行っている内容を、若手社会人向けにアレンジし、知っておくべき「税金の基礎、所得税のもととなる所得、意外と知られていない身の回りの税のルール」を解説しました。本記事では、その講座の様子をダイジェスト版でお届けします。

さんきゅう倉田氏
芸人・元国税局職員
大学卒業後、東京国税局に入局。法人税の調査を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに入る。お笑い芸人として、税務調査やガサ入れのネタなどでメディアやライブに出演。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』がある。

突然ですが、皆さん「税金」は何のためにあると思いますか?

実は国税局では、その答えを「税金とは会費である」と定義しています。この考え方は「会費説」と呼ばれ、世界的に採用されている説。皆さんが、日常生活で様々なグループや組織に所属するには、会費が必要ですよね。国家というグループを維持するためにも、「税金」という会費が必要なんです。しかし、税金を払わない方もいらっしゃるので、適切に賦課徴収を行うために国税局が存在しています。

 

さて、皆さんのお馴染みの「税金」ですが、主要なものだけでも6つも種類があるんです。どこまでご存知でしたでしょうか?

 

<「税金」の種類>

・「所得税」は、個人の所得に対してかかる税金。

・「消費税」は、物を購入したり、サービス提供を受けた時に、お金を払った場合にかかる税金。

・「相続税」は、人が亡くなった時に物を譲り受けた場合にかかる税金。

・「酒税」は、お酒を購入した際にかかる税金。

・「贈与税」は、生きている人から物を譲り受けた場合にかかる税金。

・「印紙税」は、契約書とか領収書などの書類を作る場合にかかる税金。領収書に限っては、一部が非課税となっています。54000円以上の取引を行い、レシートを発行した場合のみかかります。

・「法人税」は、法人の所得にかかる税金。

 

また、働く社会人に身近な税金といえば、「所得税」を挙げる方も多いことでしょう。実は、この「所得税」の算出元になる「所得」は、10種類に分かれています。特に皆さんが支払う所得税において、特に関連性が高いのは「給与所得」「贈与所得」「一時所得」ですね。

 

<「所得」の種類>

・給与所得(労働に対して支払われる給料)

・不動産所得(不動産の賃貸業をしている場合に得る所得)

・利子所得

・山林所得(山を伐採するともらう所得)

・退職所得(退職金をもらった際にかかる所得)

・事業所得

・譲渡所得

・配当所得(配当をもらった時の所得)

・一時所得

・雑所得(他の9個に含まれない所得)

 

ちなみに、自然災害が多い国・日本では、「災害減免法による所得税の軽減免除」という所得税の軽減免除があります。災害に遭ったときに、住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上の場合、災害にあった年の所得金額に応じて所得税が軽減免除されます。たとえば、年収500万円以下の場合は全額免除になりますので、もしもの際に備えてぜひ覚えておくことをおすすめします。

 

皆さんの周囲にも、「扶養控除」が適用されるよう、「所得が103万円以内になる範囲で業務量を調整している」という方は、多いのではないでしょうか。こうした身近な控除の話も、紹介していきたいと思います。

 

「基礎控除」は、誰でも受けられる38万円の控除です。さらに、給与所得がある方は「給与所得控除」も受けられます。以上を足し上げると、103万円になります。ですから、パート・アルバイト・会社員の人は、最低でも103万円の控除が適用されるんです。

配偶者がいらっしゃる方には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」も関わってきます。たとえば、僕に妻がいたとして、僕の「配偶者控除」が適用されたとします。もしその妻が働くことになった場合、「配偶者控除」は適用されませんが、「配偶者特別控除」であれば適用されます。今年からは適用範囲が拡大され、所得が150万円までの場合、38万円の控除を受けられるようになりました。もちろん、この「配偶者」とは女性に限定されず、男性にも適用されます。

 

皆さんが毎年行う手続き、「所得申告」についても解説しておきましょう。若手社会人の皆さんは、基本的に「年末調整」と「確定申告」を理解しておけば大丈夫です。

毎年行う手続き「年末調整」と「確定申告」についても解説しておきましょう。

「年末調整」とは、毎年12月までに基本的には会社が担う手続きです。12月から1月にかけて、源泉徴収票を受け取ることになります。「確定申告」とは、毎年2月から3月の間にご自身が税務署、もしくはパソコン上で行う必要がある手続きです。1年間の収入を申告してもらいます。

会社員・パート・アルバイトの方であれば、必要な所得申告は「年末調整」のみです。しかし、例外的に「確定申告」が必要な場合もあります。代表例として、副業や「ふるさと納税」をしていたり、住宅ローンがある場合は、忘れずに申告してください。営業しています。

基本的に、会社員・パート・アルバイトの方は「年末調整」で完結します。ただし、副業や「ふるさと納税」、住宅ローン控除などがある場合は「確定申告」が必要です。

余談ですが、実は犯罪を通じて得たお金も、申告対象になるんです。所得税基本通達は、「その収入の起因となる行為が適法であったかを問わない」と定められていますから、たとえば、万引き行為で得たお金も課税対象になるんです。とある、「海賊王」をテーマにした国民的漫画がありますが、彼らが盗んだ財宝もすべて課税対象になるという訳です。

 

 

最後に、最近よく相談を受ける投資の話もしておきます。「NISA」「積み立てNISA」「確定拠出年金」―これらについて「やった方がいいものか?」と相談を受けますが、基本的にやった方がいいと考えています。特に会社員の方は、貯金を続けていても効率よくお金は貯めることが難しいので、ぜひ投資に回すことをおすすめしたいですね。

 

まず「NISA」「積み立てNISA」ですが、大人の方はどちらか好きな方を選んで、やることをおすすめします。

「NISA」とは、初めて株を始める方に向けた5年間限定の制度です。年間投資上限額が120万円という前提がありますが、株式購入で得た利益が非課税になります。

「積み立てNISA」は、年間投資上限額は40万円と少ないですが、20年間と利用期間は長い制度です。また、「確定拠出年金」というのは、その名の通り、60歳を超えたら受け取ることができる年金です。毎月支払う掛け金が、所得から控除される仕組みになっています。ですから、普通に保険商品を買うより投資対効果が良いんです。

 

以上の話は、僕の書籍『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版、2017年12月)でも詳しく説明していますので、ご興味ある方は、ぜひご覧になってみてください。http://www.horei.com/book_978-4-86280-593-5.html

 

主催者のさんきゅう倉田氏は、このように感想を語りました。

こうした講演を行うようになったのは、2~3年前からですね。芸人になって国税局を離れた後、5年ほど経ってのことです。改めて世の中で「税金」について学ぶがないことに課題を感じ、古巣に貢献したい思いもあったことから、芸人として「税金教育」に関わってきました。今回のように、30分という短い時間で行うのは初めてでしたので、お客さんの正直な感想が気になっています。100BANCHで最適な教育方法を編み出しながら、長期的に子供に税金のことをプロボノで教えていきたいと思っています。

 

 

参加者からは、さんきゅう倉田氏のユニークな解説が好評だった様子。お堅い印象がある「税金」の話を、馴染みやすい漫画のストーリーに沿って解説するなど、「税金を身近に捉える」ための工夫が随所に凝らされていました。また、雇用形態などに応じ、セグメントを分けての開催要望が挙がるなど、働き方が多様化する時代性に鑑みても、伸びしろが大きい企画だといえそうです。

 

・「社会人でも、税金のことをちゃんと学べる機会は滅多にないので、参加しました。有名な漫画のストーリーを例に解説するなど、想像以上に面白い内容。30分はあっという間だったので、少し物足りない気もしましたが…(30代女性・病院勤務)」

・「そろそろ確定申告だと思っていた時期に、ありがたい機会でした。税金というと堅いイメージがありましたが、今日の内容はすんなりと理解することができました。会社員やフリーランスなど、各雇用形態・業種にフォーカスした講座もぜひお願いしたい。(20代男性・フリーランスのカメラマン)」

撮影|鈴木秀康

WRITER

梶川 奈津子

ライター・編集者

1992年生、早稲田文学部卒。事業会社で新卒採用に従事する傍ら、フリーランスのライター・編集者として活動中。
執筆業の目的は、「誰もが自分らしい生き方・働き方を肯定できる」機会を創ること。
日本語フェチ。文学の情景に思いを馳せては、胸がときめく。語彙を増やすことも趣味。
Twitter:@natsukok89