LEADER INTERVIEW

2018.11.06 Tue

Papertype 和田由里子・守田篤史× 横石崇: 活版文化を未来につなぐ—— 【前編】大衆ウケのためのわかりやすさと、譲れないこだわりとの狭間で

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紙製の印刷用活字「紙活字」を開発するPapertypeプロジェクトは、『YouFab Global Creative Awards 2015』にて審査員特別賞を受賞、『WIRED Audi INNOVATION AWARD 2016』ではNext innovatorに選出されるなど、さまざまなアワードで高い評価を得てきました。
しかし、そうした脚光を浴びながらも、Papertypeの和田由里子さん・守田篤史さんは「安易な方向でバズりたくない」と、メディアへの露出を控えていたと語ります。

発案から約10年もの時間をかけて大切に育ててられてきたPapertypeは、100BANCHに入ったことでどんな変化が生じたのか。100年後も続くプロジェクトにしていくために、2人はどんな工夫をしてきたのか。メンターを務めた横石崇さんが聞き手となって、これまでなかなか表に出ることがなかったPapertypeの2人の考え、プロジェクトにかける思いをひも解きました。


ー左から、メンターの&Co.Ltd代表取締役でクリエイティブ・プロデューサーの 横石崇(よこいし・たかし)、Papertype × Shibuyaのプロジェクトリーダー和田由里子(わだ・ゆりこ)、守田篤史(もりた・あつし)

 

横石:まずは、2人が100BANCHに加入しようと思ったきっかけを教えてください。あれ、これって世の中に話してもいいやつなんだっけ?(笑)

 

守田:大丈夫です。端的に言いますと、うちの事務所が火事で燃えてなくなりまして……(笑)。「全部なくなった、ヤバい!」ってなって、立て直すためにも仕事をしなきゃいけないと思ったんですけど、“住所不定”だと何をするにも不便で。避難場所を探していたところ、和田さんが100BANCHの存在を教えてくれたんです。

 

和田:場所探しで困っていた時に、翼さん(加藤翼、100BANCHのコミュニティマネージャー)に相談したら「100BANCH来たら?」と言ってくださって。それで、申請したんです。

 

横石:でも、最初に申請で出したプロジェクトはPapertypeじゃなかったんだよね。

 

守田:紙活字と和紙のコラボプロジェクトでした。もう、その頃はメンタルが“燃エナーズ・ハイ”だったから(笑)、「何が何でも入居するんだー!」って、仕事のコンペ並みに細かくつくり込んだ企画書を出しました。そしたら、審査側にいた横石さんが「こんなに細かく書かなくていいよ、なんか違う」って、もうバッサリと(笑)

 

横石:ごめん、言ったね(笑)。

 

和田:ダメなのかと思ったらそうじゃなくて、「出来すぎ。完成が見えちゃってるんだよね」と言われて。それはおっしゃる通りだなと。

 

横石:僕は100BANCHのことを「21世紀のトキワ荘」みたいに思っていて、まだ何になるかもわからない、余白のある荒削りなプロジェクトが集まってきて、お互いに切磋琢磨している環境であってほしいと思っています。だから、「トキワ荘にしては、出来すぎなんじゃない?」って感じたんです。

 

 

守田:それ聞いて納得したんです、そりゃ通らないよなと。すでに協賛企業まで見つけてあって予算のめども立てて「ゆくゆくはブランド展開してミラノ・サローネに出しましょう」って、関係者に話をつけてその段取りまで整えた状態で、プレゼンしてましたもんね(笑)

 

横石:そうそう、「もう商業誌にそのままデビューできるじゃん!」って感じでしたよね。それで、Papertypeという存在は『WIRED Audi INNOVATION AWARD』を受賞した時から知っていたので、その場で「そっち(Papertype)を100BANCHに持ち込んでやらない?」と話をした。“紙活版”って題材自体が面白いし、余白しかないなと思ったから。

 

守田:これまでPapertypeはいろいろな賞をいただいてはいるものの、世間的にはそこまで認知されていないと感じていて。あんまり派手に大衆ウケするものではないし、僕ら自身にも「急がずにゆっくり進めていこう」という信念があったので。

いや、「僕ら」と言うのもおこがましいかな。僕がPapertypeのプロジェクトに参加したのは2016年からで、和田さんはその前から、かれこれ10年近くかけてこの“紙活版”を開発してきました。そうやって時間をかけて大事に育ててきたものだからこそ、100BANCHみたいな環境に入ったら「何かがズレてしまうかもしれない」という懸念があって、二の足を踏んでたところはありました。

 

和田:当時、周囲からよく「アルファベットだけじゃなくて、日本語も作りなよ!」って言われてたんですよね。その時に私は「日本語は、まだちょっと早い」と思ったんです。わかりやすいものに流れたくない、と感じていて。

だから、「メンターから日本語の制作を勧められたらどうしよう」という怖さがありました。「やりたくなくても、やらざるを得なくなってしまうのかな」って。でも、横石さんはそう言わなかった。今になって振り返ってみると、それが安心感につながって、Papertypeでいくことを踏み切れたように思います。

横石:あらためて思うんだけど、「活版」ってすごく重厚な世界じゃないですか。そこそこ大がかりな設備が必要で、そこにまた熟練の人の技術がかけ合わさって、初めて成立するもので。

2人がやっているPapertypeは、あの独特な世界を工場から切り離して、机の上でやれるくらいのスケールで再現している。しかも、マテリアルに紙を用いた“紙活字”という軽やかな形で。文化的な尊さも感じてるんですよ。

 

和田:活版印刷は15世紀にヨーロッパで生まれた技術で、火薬・羅針盤と並ぶ「世界三大発明」のひとつにも数えられていて。それまでは手書きで写生するのがメジャーだったから、本はすごく高価なものでした。

けれども、活版印刷が普及したことで複製が簡単になり、本が一般庶民にも手の届くものになって。それによって、世界の教育や文化の水準が大きく底上げされていったんです。研究記録を残したり、それをほかの学者が参照したりすることが容易になって、科学技術の発展にも大きく寄与しました。

 

横石:もともとはグーテンベルクが「聖書をもっとたくさんの人に読んでもらいたい」という動機で考案した技術でしょ。それが、宗教だけじゃなくてあらゆる文化をアップデートするほどの影響力を持つだなんて、彼も想像してなかっただろうな。

 

和田:オフセット印刷やコンピューターなどの登場によって、徐々に衰退の一途をたどってきた活版印刷ですが、最近では「レトロな質感、手触りがいい」といったニーズから、また少し注目され始めてきましたね。

 

横石:ふたりが感じている「活版印刷の魅力」って、どんなところ?

 

守田:きちんと設定を整えてあげれば、単色に関して一番キレイに印刷物が刷れるのが、活版印刷だと思っています。それと、活版印刷で刷った印刷物って、とても強いんですよ。

 

横石:強い?

 

守田:本などの紙の印刷物は、基本的に水に濡れたら、形が大きく崩れますよね。つまり、災害に弱いんです。浸水などの直接的な水害はもちろん、地震などで家屋が倒壊した場合でも、野ざらしになった本のほとんどが湿気や汚れでダメになってしまいます。でも、活版で刷った印刷は、水に強いんです。濡れても乾かせば復活するんですよ。

 

横石:確かに「強い」ね、文字通りに。

 

守田:僕ね、それで活版印刷に救われてるんです。火事で「大事なもの全部失っちゃったな」と途方に暮れていた時に、灰の中から紙活字で印刷した紙のカードケースが出てきて。すすけてグチャグチャで「もう使い物にならないよなあ」と思いつつ、洗ってアイロンをかけたら、キレイに元に戻ったんですよね。

 

 

横石:なくならないで、残ったんだ。

 

守田:何十年と集めてきた貴重な資料本も、人からもらった大切な本も、火事でほぼ全滅でした。その中でいくつか復旧できたものがあって。それも、活版で刷られた印刷物でした。

名刺1枚、本1冊残ったくらいで何だと思われるかもしれないけど、僕にとってはそれが本当に救いになりました。「大丈夫、全部なくしたわけじゃない。まだなんとかなる」って思えたんです。

 

横石:うん。

 

守田:そういう原体験があるので、和田さんの活動は心から応援したいと感じられています。活版印刷という“長く残すための文化”が、これからも細く長く残ってほしい。ただ、ほかの印刷方法にもそれぞれの魅力があるので、それも合わせて伝えていきたいなと。

 

和田:私も「活版がベストで、ほかは微妙」なんてことは、全然思ってなくて。ただ、印刷のひとつの選択肢として、なくならないでいてほしい。活版印刷は最も原始的な印刷で、だからこそ応用がききやすいんです。そこは、ほかの印刷方法には真似できない魅力ですね。

 

守田:一番“余白”があるよね、活版印刷は。原始的だからできないことの方が多いんだけど、その制限さえ取っ払ってしまえば、自分の「こんな風に印刷したい」というイメージを忠実に反映することができる。活版印刷は「創造性をもって、できることを拡張していける印刷方法」なんだと思います。

横石:あらためて聞くと、やっぱりいいよね、Papertype。

 

守田:まさか、100BANCHで取り組むことになるとは思ってなかったです(笑)

 

横石:そう、活動自体はメッセージ性にも富んでいて素晴らしいんだけど、100BANCHのガレージプロジェクトとして採択するにあたっては、2つお題を出したんだよね。

1つは、僕が主催してる『TOKYO WORK DESIGN WEEK』で飾るための、“WORK”って文字の印刷物の制作をお願いして。そしてもう1つは、「100年続くプロジェクトとして、渋谷という街で何ができるか」を考えてほしいと。具体的には『渋谷盆踊り大会』で何かできたらいいんじゃないかと提案したんじゃなかったかな。

 

和田:“WORK”の印刷物の方はすぐに送りました。

 

横石:あれね、言った次の日くらいにつくってきてくれてビックリした(笑)。クオリティもバッチリで。なんでこれを頼んだかというと、「ちゃんとつくる気力が残ってるか」を確かめたかったから。

火事で大変だという状況は理解していたけど、それでも「メンタルがやられて何もできない」となっているのなら、やっぱり100BANCHとして協力することは難しい。ほかにも応募してきてくれたプロジェクトはたくさんあったからね。だから、申し訳ないとは思いつつも、ちょっと試させてもらったんです。

 

守田:いえいえ。

 

横石:めちゃくちゃ想定より早く納品してもらえたし、何よりも僕がそれをみてワクワクできたので、それで安心しました。

 

和田:私は問題なく動けてましたね。どっちかというと、やられていたのは……。

 

守田:そうですね、僕の方です。1年かけて借金までしてつくり上げた事務所が、目の前で燃えたんですよね。もう、完全に「神様なんて信じない」マインドができ上がっていました(笑)。だから、ちょっと精神的にキツくて動けない時期とかは、和田さんに託していた部分も大きくて。

 

横石:話を聞いてるとさ、2人はとてもチームワークがいいよね。同じタイプではないからこそ、補い合ってバランスが取れているような気がする。それぞれの役割分担は、どんな感じなの?

 

 

和田:私がPapertypeの大元のクリエイターという形で、守田さんにはその中でアートディレクションとプリンティングディレクションを担当してもらっています。

 

守田:和田さんが生み出したものを、印刷物・印刷技術としてどう拡張していくか。また、それらをどうやってデザインに落とし込んでいくか……といったことを考えるのが、僕の役割です。

 

横石:拡張というのは、たとえばどんな感じですか?

 

守田:活版は原画主義が強くなりがちで、原画主義になるとPapertype自体が和田さんの作家性に依存してしまいます。それは和田さんとしても本意じゃないので、僕がPapertypeに広がりを持たせられるよう、デジタルやWeb、映像などの世界との接点を探っているんです。

 

横石:印刷モノフリークたちだけのものにならないように、バランスを取っていくようなイメージかな?

 

和田:そうですね。私はPapertypeを「誰もが気軽に手に取れる、印刷表現のプラットフォーム」にしていきたいと思っているんです。そのためには、印刷文化に興味のないような人でも、面白いと感じてもらえるようなものにしていく必要があって。

 

守田:その「広く皆に興味を持ってもらう」「面白いと感じてもらう」という部分へのアプローチを、主に僕が試行錯誤している感じです。

 

横石:Papertypeって、当時はすごく一部の熱狂的な人たちから受けているプロダクトだったよね。さっき守田くんも「賞は獲ってるけど世間的に認知されてない」って言ってたし。

制作できる環境の問題が大きかったのはもちろんだけど、「メジャー化する道筋」を求めて、100BANCHに応募してきた部分もあるんじゃないかな。

 

守田:それは確かにあったと思います。

 

横石:僕も、もっとブレークしてほしいなと感じているんですよ。Papertypeには。だから、今まで見向きもされなかった人たちに、興味を持ってもらうための――tofubeatsでいうところの「森高千里とコラボする」みたいな感覚で、何かきっかけづくりが必要なんじゃないかなと思って。それで、本当にただの思いつきで「渋谷盆踊りとコラボしたらいいんじゃない?」って提案したんだよね。

守田:渋谷盆踊りは……外部から繋がりをつくるのに、本当に苦労しました。最初は事務局に連絡したんですけど、なかなか難しそうで。その後も青年会長さんを訪ねたり、別の角度から攻めたりもしたけど、話を聞いてもらうまでが苦労しました。

 

横石:ごめんね、言っただけで橋渡しとか全然しなくて!(笑)

 

和田:「ちょっと行き詰まりました」って相談したら、横石さんに「まあ難しいよね!うん!」と返されて……すみません、あの時はちょっとイラッとしました(笑)。

 

守田:多分それで、いつもだったら「じゃあ、ほかの案で」と諦めていたと思うんですけど、僕、まだまだ“燃エナーズ・ハイ”だったんで(笑)。「渋谷盆踊りって言われた……これは落としたらヤベエ……居場所がなくなる……何がなんでも……成功させなきゃ!」って。

 

和田:それから守田さんの奔走が始まったよね。

 

守田:そう、苦肉の策を講じ始めたというか。「盆踊りの当日に会場近辺で何かをやっていたら、盆踊りに参加した風になるのでは!」とひらめいて。道玄坂上にあるFabCafeさんに「盆踊りの日取りに合わせて、風車(かざぐるま)を展示させてほしい」とお願いしたんです。

 

横石:その段階では「風車」ってイメージがはっきりしていたよね。Papertypeの印刷物で何かをつくるとなると、いろいろと選択肢があったと思うけど、なんで風車にしたの?

 

守田:お祭りに関連するものって考えた時に、真っ先に思い浮かんだのはうちわで。でも、それじゃひねりがないし、ほかのものもいっぱいあって埋もれてしまいそうだなと。

 

 

守田:そこで、横石さんの「渋谷という街だからこそ」というお題に一度立ち返ってみたんです。「渋谷……渋谷は谷、高低差があるから風が吹く。風が吹くから、風車」という流れで着想しました。

 

横石:「風車をつくります」と提案された時、和田さんに「それは何かを解決するための風車なのか、それともアートとしての風車なのか、どっち?」って問いました。そしたら和田さんは「渋谷には風が吹くから、その風を可視化したい」と言ったよね。そうすることで、渋谷の街が活気づいて、ちょっとよくなるんじゃないかって。

 

和田:私の中では、台風の目みたいなイメージの風でした。100BANCHからPapertypeという風が吹いて、それが渋谷の盆踊りにジョインすることで、あたらしい空気の流れ、うねりみたいなものができたらいいなと思って。少しでも前例があれば、後の人たちもジョインしやすくなるだろうし。

 

守田:後続のプロジェクトの人たちのために、僕らはいろいろな扉を叩きまくろうって、2人で決めたんです。ただ、直前までまったく突破口は見つかりませんでしたね。

 

和田:でも、形は見えたし、できることはやっていこうと。それで、ナナナナ祭で風車を展示して、盆踊りの運営の方々を招待して見てもらったら、あっさり決まった。「これだったら、縁日で飾ってもらえばいいんじゃない?」って。

 

横石:やっぱり、現物に力があったんだろうな。いやあ、土壇場での大逆転って感じだね。

 

守田:そこまではよかったんですけど、決まったら和田さんが「盆踊り仕様に新しく風車を作り直す」って言い出したんですよ!

 

和田:ナナナナ祭の時の風車は白がベースだったんですけど、盆踊りの空間はガチャガチャしているから、埋もれてしまうなと思って。だから、赤や青の色を差して、華やかにしたんです。

 

横石:なるほどね。

 

守田:いやね、それはいいんです、素敵ですよ。けど、盆踊りの人たちは「そのままでいい」って言ってたんです。しかも、ナナナナ祭が終わってから盆踊りまで、1週間しかなかったんですよ?

印刷やって組み立てやってと考えたら、「絶対寝ないでやらないと間に合わないじゃん!」ってスケジュール感で。僕は「ムリムリ!」って言ったんですけど、和田さんはこの感じで「ダイジョブダイジョブ」って……(笑)

 

和田:大丈夫だったでしょ?(笑)

 

横石:いや、ホント2人、バランスいいわ(笑)

和田:100BANCHに入らなかったら「風車をつくる」なんてアイディアは、出てこなかったと思います。“紙活字”と人とがダイレクトに関わらないようなものをつくるのは、もうちょっと先だろうなと考えていたので。ある意味、横石さんに背中を押していただけたことで、一歩踏み出せたような感覚があります。

 

守田:和田さんのこれまでの歩みを思えば、風車はかなりキャッチーな制作物でしたね。「Papertypeが何なのか」を知らなくても、「なんかオシャレ」と興味を持ってもらえるような見た目なので。

わかりやすい“よさ”を用意することは、広く認知を得ていくために大事な要素ではあります。けれども、その一方で「自分たちの本意とはズレたところで評価されてしまう」といった危険性もある。

 

横石:それは、和田さんがずっと避けてきたことだったね。

 

和田:わかりやすさを求めるために、品質を妥協したり、本質をねじ曲げたりすることはしたくないです。大衆ウケを狙って、安直な道には行きたくない。

 

守田:Papertypeを開発したのは和田さんなので、僕もできる限り和田さんの思いを尊重します。正直な意見は言いますけど、大きく方向性を変えたり、誘導したりすることはありませんでした。そんな中で横石さんは「こっちこっち!」と、ぐいっと風向きを変えてくれて。

 

横石:僕が2人の苦労を知らない外側の人だから、安易に「盆踊りでやっちゃえ!」とか言えちゃうんですよね。

 

守田:今回はそれがよかったんです。今までにない試みをしたことで、新鮮な反応をもらえたり、思わぬ新しい道が開けたりしたので。2人きりで続けていたら、絶対にこういう展開にはならなかっただろうなと。

 

 

和田:風車をナナナナ祭や渋谷盆踊りで出せたことで「もっとPapertypeの本質を見せるような企画をやった方がいい」と言ってくれる人から、依頼や提案が来ているんです。展示会が決まったり、銀座にあるホテル(ハイアットセントリック銀座)でクリスマスのインスタレーションのアートディレクションを任せて貰えたり。

 

守田:盆踊りで風車に興味を持ってくれた方がいて。すごく話が合って「今度遊びに行きますね」と言って名刺を交換したら、そのホテルの総支配人だったんです。

 

横石:そんなステキなシンデレラストーリーって本当にあるんだ?(笑) でも、Papertypeの本質というか、2人が大事にしているポイントにちゃんと共感してくれる人が現れて、本当によかったね。

 

守田:風車で少しポップにしたので、和田さんとは「次の3カ月は本質に寄せた見せ方をしていきたい」と話していました。それが実現できそうなので、これからが楽しみです。

 

横石:100BANCHに入ったことで生まれた変化が、2人にとって望ましい機会を呼び込んでるようで、こちらとしても嬉しい限りです。ポップさと本質追求のいいバランスは見えてきましたか?

 

守田:まだまだ模索中です。ただ、見失っちゃいけない視点は、ポップさと向き合うことで、少しずつ掴めてきた気がします。「長いタームで考えること」とか、「劇薬的な施策をしない」とか。

 

和田:同じガレージプログラムだと、昆虫食Future Insect EatingさんやアクアポニックスNew Aquaponics!さんあたりが、私たちと似たようなターム感でプロジェクト全体を捉えているように感じています。

 

横石:メンターとして「100年続くプロジェクトを」とは言ってるけど、実際にそれくらいのタームを意識していくと、戦い方は変わってくるだろうね。

 

守田:僕らはなんというか、得意・不得意をわきまえているので(笑)。腰を据えてじっくり向き合うのは、得意な方なんだと思います。

 

横石:じゃあ、これから先の不安は特にない?

 

和田:そうですね。

 

守田:いや、100BANCH出た後の事務所問題はあるじゃん……?

 

和田:あ、そうだったね。物件、絶賛募集中です。

 

守田:せっかくだから、渋谷近辺で探してるんですけど、なかなかいい所が見つからなくて。横石さん、都合よく事務所とか余ってませんか?(笑)

 

横石:ないわ!(笑)

 

■Papertype×Shibuya展示予定

11/10(土)〜11/11(日)ななめな学校 紙の活字と光るインキの不思議ラボ

12月5日(水)ハイアットセントリック銀座 活字をつなぐクリスマスツリー ※クリスマスツリーは12/1〜12/25まで常設展示

 

後編「Papertype 和田由里子・守田篤史× 横石崇: 活版文化を未来につなぐ—— 【後編】余白が呼び込む関係性と可能性」はこちら

 

WRITER

西山 武志

writer

埼玉県生まれ。大学在学中からライター業を始め、卒業後よりフリーランスとして活動。銭湯は見かけたら大体入る。パイプ椅子が並んでるような中華料理屋のあるお店通りが好き。

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